ピアノの弾き方 その5――美しい響きを生むペダリング

はじめに

こんにちは、ピアニストの石川武蔵です。ペダルの扱いに悩んだ経験はありませんか?「濁る」「レッスンでいつも注意される」という声をよく耳にします。今回のテーマは、美しい響きを得るための基本ペダリングです。

1. ペダルを踏む3つの目的

  1. 音を豊かに響かせる– 弦をダンパーから解放し、色彩を加える。
  2. 音を滑らかに繋げる– 離れた音や和音をレガートに結びつける。
  3. 倍音を活かす– 複数音の倍音が重なり、新しい響きを生む。特に③がペダル使用の核心です。

すべては“頭の中で描いた理想の響き”を実現するため。イメージが先、操作は後です。

2. フットワークの基本

2‑1 足の位置

  • 母指球(親指の付け根)でペダルに触れる
  • 足裏は常にペダルに軽く接地。離れた位置から踏み始めると雑音が生じます。

2‑2 動かすのは足首から先

  • 膝や腿は固定。足首の上下運動だけで操作すると繊細なコントロールが可能。

2‑3 離すときも静かに

  • ペダルを戻す際も足裏を浮かせず、ペダルが上がり切る直前で減速させるとノイズを防げます。

3. タイミング――“後踏み”が基本

多くの初心者は「音と同時」に踏みますが、プロは弾いた直後に踏みます(後踏み)。濁りを避けつつ響きだけを残すためです。スタッカートなどの短い音にペダルをつける場合は打鍵と同時に踏むこともありますが、その場合ペダルを踏む直前に音の空白が必要です。

正確なタイミングは文字だけでは習得できません。信頼できる先生と耳を頼りに調整することが近道です。

4. 耳と和声の知識を磨く

ペダリングには和音の働きの理解が欠かせません。和声音/非和声音、共通倍音の有無など、分析眼があってこそ“濁らない最適解”が見えます。鍵盤上の練習と並行して、和声の基礎を反復しましょう。

まとめ

  • ペダルは〈響き・レガート・倍音〉のためのツール。
  • 母指球で常時接地し、足首のみで操作。
  • 基本は“後踏み”。耳で濁りの有無を判断。
  • 和声を学び、判断力を養う。

ペダリングは文字だけで完結しない繊細な世界ですが、日々の練習で耳を育てれば確実に向上します。ぜひ試してみてください。

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ストライプミュージックスクールのレッスン室
石川武蔵
石川 武蔵

ピアニスト。パリ国立高等音楽院ピアノ科修士課程を首席で修了。ストライプミュージックスクール代表として、大人レッスンと音高・音大受験を担当。

目次
  1. 1. ペダルを踏む3つの目的
  2. 2. フットワークの基本
  3. 3. タイミング――“後踏み”が基本
  4. 4. 耳と和声の知識を磨く