こんにちは、ピアニストの石川武蔵です。前回は〈鍵盤をつかんで放す〉というアプローチを紹介しました。今回はその“さらに前”、鍵盤に触れる前に何を考え、どう準備すればよいかを掘り下げます。
1. イメージトレーニングは音づくりの出発点
どの楽器でも「きれいな音」が理想ですが、願うだけでは届きません。まず必要なのは、頭の中にありありと音を鳴らすイメージ――この“脳内リハーサル”が身体の動きを自然に導きます。スポーツでもおなじみのイメトレが、ピアノ演奏にも同じく有効です。
2. “音を聴く”──奏でる前に鳴らす
結論はシンプルです。
鍵盤に触れる前に、理想の音を自分の耳で聴いておくこと。
楽器を構えた瞬間、頭の中で望む響きを再生し、その音に限りなく近づけるよう腕や指を動かします。肩・肘・手首が自由に保てているか――〈その 1〉〈その 2〉で確認したポイントを思い出してください。
3. イメージが湧かないときのヒント
- 録音から学ぶ音楽サブスクやYouTubeで好きな演奏をたくさん聴き、心を動かされた響きを真似してみましょう。最初は“型”を写し取る段階で構いません。
- 反復フィードバック思い描く→弾く→実際の音を聴き比べる——この循環を繰り返すことで、自分の身体と音色の関係が見えてきます。少しずつ“音色のパレット”が増えていく過程を楽しんでください。
4. 練習=修行ではなく、創造の時間
正確な音を出せるようになってから表現を付ける──という順序は時間がかかる上に単調になりがちです。最初から音楽的イメージを持って鍵盤に触れるほうが、曲の習得は速く、練習そのものも豊かになります。
私がよく演奏会後に「楽しそうに弾いていたね」と言われるのは、この準備があるからこそ。本番は自由を最大限味わう場所です。皆さんにも、その道のり自体を心から楽しんでほしいと願っています。

まとめ
ピアノの弾き方 その 3:鍵盤に触れる前に、頭の中で音を鳴らそう。
明確なイメージが描ければ、素敵な演奏はもうすぐそこです。次回は、イメージを具体的な練習法へ落とし込む方法をお届けします。お楽しみに!